生きていた、においがした。

 

さっきゴミ捨てに行ったら、

収集日後のガランとした集積所の真ん中で

青い生ゴミネットの中に

野菜と一緒に突っ込まれてた

魚の頭の目だけが光ってた。

 

私はいたたまれなくて自分の持っていたゴミ袋をその魚の頭が入った青い生ゴミネットの前に置いた。

 

それで駆け足で部屋へ帰った。

 

集積所には魚の血生臭さが充満していた。私は何だか臭いより先にこれは「生きていた」という におい だと思って、そしてそのことに身震いした。

 

生きていたんだ、あの魚。

あたりまえのことだけど。

 

そしてこの鼻をつく臭いは、あの目を光らせてこっちを見てた魚の生きていた証のようなものなんだ。

 

死ってそういうことなのか、みたいな

わかったようなわかんないような気持ちと、突然目の前に現れた過去形の「生」に恐れを抱いて後ずさりするほかなかった。

 

風呂に入って身体中をよく洗った。